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2023/01/20

【ラパルフェインタビュー】夢を支えたパラレルキャリアという選択―「お前らKDDIエボルバに行けぇ!」―

好きな世界でプロを目指している人にとって、夢と生活の両立は大きなテーマ。生計を立てるための仕事をしながらプロとして自立を目指す、そんなパラレルキャリアを可能にしてくれるのはどんな職場なのでしょうか。
2018年にデビューしたお笑いコンビ「ラパルフェ」のお二人も、芸人と別の仕事を両立させてきたパラレルキャリアの持ち主。最近までKDDIエボルバのコールセンターで働いていた都留拓也さんと、現在も別会社のコールセンターで働く尾身智志さんが、自身の体験を語ります。

お笑いコンビ

ラパルフェ
都留拓也さん(左)/尾身智志さん(右)

ともに1994年生まれ、東京都出身。中学時代に同級生として出会い、大学のお笑いサークルで本格的にコンビを結成。大学卒業後、ワタナベコメディスクールを経て2018年4月にデビュー。都留さんの「トイ・ストーリー」のウッディのモノマネや阿部寛さんのモノマネをしながら「東大に行けぇ!」と叫ぶ芸が話題を呼び、TV番組などで活躍するようになる。2021年、M-1グランプリで準々決勝進出。2022年、『ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ』(フジテレビ系)で都留さんが優勝。

中学1年で出会った「第一印象は最悪」の相手とお笑いの道へ

デビュー以降、順調に活躍の場が広がってきているようですが、ブレイクの実感はありますか?

ラパルフェ都留さんのインタビューカット
都留拓也(以下、都留)

正直言って、ブレイクしているのかどうかまだよくわからないです。俳優の阿部寛さんのモノマネをきっかけに芸人の仕事は増えましたが、まだ給料に浮き沈みがあるので。

ラパルフェ尾身さんのインタビューカット
尾身智志(以下、尾身)

僕は実感があります。都留くんがブレイクしているなという実感が(笑)。普通に家でテレビを見ていたら彼が出てきたりするし、ピンでの仕事がすごく忙しいみたいなので。僕は今もコールセンターで働いていて、都留くんが忙しいぶんパラレルキャリアに励んでいるわけですが、ありがたいことに最近はコンビでの営業の仕事も増えてきました。

ラパルフェ都留さんのインタビューカット
都留

僕もコールセンターで働いていました。お笑いの養成所を出た後、KDDIエボルバのコールセンターに時給制契約社員として入社して、5年ぐらいお世話になったと思います。その間に芸人の仕事が増えて退職したんですが、それが2022年3月のことなので、本当につい最近ですね。

お二人が出会ったきっかけを教えてください。

ラパルフェ都留さんのインタビューカット
都留

2人とも同じ中高一貫校で、中学1年のときに出会いました。クラスは別でしたが、4月の頭に1年生だけの合宿があって、そのとき同じ部屋になったんです。

第一印象は最悪でしたね(笑)。僕が二段ベッドの上でゴロゴロしていたら、尾身くんが突然登ってきて無言で変顔を見せつけてきて……。「やめろ」って言っても聞かないし、初対面のヤツに長時間ボケ続けられて、本当に怖かった……。

ラパルフェ尾身さんのインタビューカット
尾身

仲良くなりたかったんですよ(笑)。都留くんがピクサー映画のキャラクターにそっくりだったから、「ピクサー顔の人が現実世界にいる!」と嬉しくなってしまって。でも、その頃の僕は自分から友達になりたいとか言えるタイプではなく……。純粋だからこそ見つめるしかなかった(笑)。

ラパルフェ都留さんのインタビューカット
都留

イヤイヤ、無言で変顔って怖すぎるでしょ! 結局、尾身くんと友達になったのは2年後の中学3年のとき。

中学2年で同じクラスにはなったのですが、そのときも尾身くん、“いつまでもボケ続ける”ということを、いまだにやっていて。結局それがきっかけでクラスメイトから引かれることに。コミュニケーションが下手だったんだよね。

ラパルフェ尾身さんのインタビューカット
尾身

まあ、そうだね。その頃の都留くんは学級委員で、「都留の一声」っていうホームルームのコーナーがあったぐらい人気者でした。僕はまったく逆でいじめられっ子だったんですけど、中学3年で“いじめられキャラ”から“いじられキャラ”に変わって。そこから友達ができ始めて、都留くんがいるグループに入れるようになりました。

ラパルフェ都留さんのインタビューカット
都留

当時の仲間は皆お笑いが好きで、「尾身-1グランプリ」ってのを勝手に作って、仲間うちでコンビを組んでネタを見せ合ったりして遊んでいました。尾身くんと組んだこともありましたよ。それがきっかけだったのかはわかりませんが、高校生のときに夕陽の差す廊下で「一緒にお笑いやろう」って尾身くんに告られました(笑)。2人で「ハイスクールマンザイ」っていう高校生の漫才大会に出たりしていましたね。

ラパルフェ尾身さんのインタビューカット
尾身

大学時代は、僕が早稲田大学のお笑いサークルに入って、別の大学にいた都留くんを呼んでコンビで活動を続けていました。それで、4年生のときに大学のお笑いサークルのコンテスト「大学芸会」で優勝したんです。

ラパルフェ都留さんのインタビューカット
都留

2人で「大学で結果が出たらプロへ行こう」って話していたので、この優勝で「プロでやろう!」って気持ちが固まりましたね。

夢との両立には「困ったとき相談に乗ってくれる上司」も不可欠

大学卒業後は、プロを目指す一方でどう生計を立てていたのでしょうか。

ラパルフェ都留さんのインタビューカット
都留

「芸人という職業へいかに効率的に進むか」という目的から逆算して、3つの条件が揃う職場を探しました。通勤時間が短い、短時間で稼げる(時給がいい)、シフトの融通がきく。この3つが揃っていると思ったのが、KDDIエボルバのコールセンターだったんです。あと、これはKDDIエボルバに入ってから実感したんですが、もうひとつ大事な条件があって。「困ったとき相談に乗ってくれる上司がいる」。これ、ほんと大事です。

ラパルフェ尾身さんのインタビューカット
尾身

その4つは本当に大事。僕は最初、大学時代にやっていた新聞社の事務アルバイトをそのまま続けていました。しかし次第に芸人活動との両立が難しくなって、都留くんとは違うコールセンターに転職したんです。水道メーター検針の仕事に応募したこともあるのですが、実は僕、運動神経がものすごく悪くてですね。仕事で使う自転車に乗れなくて、初日でクビになっちゃいました(笑)。

ラパルフェ都留さんのインタビューカット
都留

コールセンターの仕事は運動神経いらないからね。難しい業務もありましたが、KDDIエボルバは職場環境がすごく良かったんです。

コールセンターって閉鎖的な感じなのかなと思っていたらまったく違くて、とてもあたたかい雰囲気で。僕が働いていたデスクでは母親と同じぐらいの年齢の方が多く、上司も、母親か? ってぐらい親身に接してくれました。

ラパルフェ尾身さんのインタビューカット
尾身

僕が働いているコールセンターも同じ。母親と同世代の人が「あなたと同じ年ごろの娘がいるのよ」ってかわいがってくれて、小さなチョコレートとかくれるんですよ(笑)。実家みたいに心地よくて、アットホームな職場ってこういうことを言うんだなと思いました。

ワーママ若月さんのポートレート

WORKSTYLE | 働き方

2022/08/01

沢山のパパ・ママが生き生きと働いているKDDIエボルバ。キャリアと育児、両立のリアルを語ります。

ラパルフェ都留さんのインタビューカット
都留

芸人活動の都合で急に休まなければならなくなったときも、いつも上司に相談してました。オーディションとかテレビ出演って、急に決まることが多いんです。そのたびに休むのは心苦しかったですけど、2つの仕事がかぶったら必ず芸人の方を優先するって決めていたので……。

ラパルフェ尾身さんのインタビューカット
尾身

勝手な話だけどな。どちらも仕事なわけだから、芸人活動を優先しますってのは僕たちの勝手な都合ですよね。

パラレルキャリアの終焉! 意志を聞かれて覚悟ができた

職場には芸人活動のことは伝えていましたか?

ラパルフェ尾身さんのインタビューカット
尾身

僕は面接の時点で、芸人活動をしていて急に休む場合もあるってことを伝えていました。そこを知ってもらった上で採用するかどうか決めてもらわないと、余計に迷惑をかけてしまうので。

ラパルフェ都留さんのインタビューカット
都留

僕も面接のときに伝えました。入社して3年くらいたった頃、普段の仕事ぶりを評価いただき、上司がリーダーへの昇格を勧めてくれたんです。両立できるかどうか不安だったのですが、その時は「シフトに入っていない時に変更となった業務内容を必ずキャッチアップしてるし、飲み込みも早い。今の働き方のままで大丈夫だしお給料も増えるよ」って言ってくれて。両立への心配よりも仕事への姿勢や内容を評価してくれたのもうれしかったですし、それならやってみようと。

ただ、その後阿部寛さんのモノマネが知られるようになってから、シフト調整も増えてきちゃったんですよね。阿部寛さんが日曜夜のドラマに出演していたときは、翌日にモノマネ動画をアップしたくて、月曜をすべて休みにしてもらっていました。さすがに「もうちょっと出勤してね」とは言われましたけど(笑)。

ラパルフェ尾身さんのインタビューカット
尾身

せっかく昇格させたのにひどいじゃないか、みたいな(笑)。しかも週明けの忙しいときに休むなんてねぇ。

ラパルフェ都留さんのインタビューカット
都留

ほんと申し訳ない。結局、芸人の仕事が爆発的に増えて、シフトもほとんど入れなくなり、上司との話し合いの結果、退職することにしました。一方的に「これほど出勤できないのはさすがにクビ!」って言われてもおかしくなかったのに、定期的にきちんと話し合う場を設けてくれて感謝しています。

ラパルフェ尾身さんのインタビューカット
尾身

会社としても限界まで待ってくれたんだよな、きっと。でも、退職の話が出たから覚悟ができたって部分もあるよね。もう腹をくくるしかないみたいな。

ラパルフェ都留さんのインタビューカット
都留

そうだね。ギリギリまでいさせてもらったし、ここからはもう芸人一本で行くしかない! と思った。職場の皆も応援してくれたと言うか、あたたかく送り出してくれました。

最終日、手続きだけのつもりで出社したら皆が声をかけてきてくれて、結局1時間ぐらいサインを書き続けたという(笑)。

ラパルフェ尾身さんのインタビューカット
尾身

僕は今もコールセンターで働いています。今の職場に転職したのは芸人活動のためと、もうひとつ、娘が生まれたからというのもありました。奥さんは会社員であまり時間の融通がきかないので、保育園へ送迎したり熱が出たときに駆けつけたりするのは僕の担当になるなと思って。それができるように、より都合のつきやすい職場に入っておきたかったんです。だから今は、芸人活動と仕事と子育ての3つを並行してやっている感じですね。

ラパルフェ都留さんのインタビューカット
都留

子どもが生まれた頃は、よく「大変だぁー」って言っていたけど、今は言わなくなったね。僕から見たら、かなり大人になったと思う。

ラパルフェ尾身さんのインタビューカット
尾身

いやいや、働きながら子育てって、どんな職業でも皆さんやっていることだから。娘ももう2歳になったし、今は大変っていう感覚はないです。ただ、僕は自転車に乗れないんで、保育園への送迎が電車ってのがちょっとつらい(笑)。あと、移動中ずっと抱っこしてるから腰が痛いです。

解散の危機を乗り越えて、2023年こそM-1準決勝へ

お互い仕事や家庭に変化があって、それでもコンビ活動に影響はなかったのでしょうか。

ラパルフェ都留さんのインタビューカット
都留

影響というわけではありませんが、2人の間では色々とありました。コンビって、ネタの案を出す人とそれを展開させる人に分かれている場合が多いんですけど、今、「ラパルフェ」は両方を僕が担当しています。最初は案出しだけだったのが、展開担当の尾身くんが色々言うもんだから嫌になっちゃって。「そんなに文句言うなら俺が両方やる」って言いました(笑)。

ラパルフェ尾身さんのインタビューカット
尾身

今のラパルフェは色々な意味で都留くんがすべて(笑)。僕は元々ゼロからイチを生み出すのが苦手で、だから展開させる方を担当していたんですが、都留くんが1人で考えた方がやりやすいんならそうしようと。

最初は葛藤もありましたけど、それも1年ぐらい前に吹っ切れました。都留くんは努力して売れて、テレビの世界で結果を出せているんだから、信頼して任せようと!

ラパルフェ都留さんのインタビューカット
都留

いやいや、本当は俺に怒られたからでしょ(笑)。僕、去年(2021年)のM-1グランプリの後、「いつまでもネタに文句言ってないでちゃんとやれよ!」って、尾身くんにめっちゃ怒ったんですよ。「M-1のネタだって全部俺が書いてウケたでしょ? 俺の言っていたこと合っていたでしょ?」って。

ラパルフェ尾身さんのインタビューカット
尾身

去年のM-1までの1年ぐらい、個人的に追い込まれていたんですよ。子どもが産まれた後、奥さんの収入が途絶えた時期があって、「俺が一人で稼がなきゃ」って自分で自分を追い込んじゃって。

芸人と仕事と子育て、さっきは大変じゃないって言いましたけど、正直このときはいっぱいいっぱいでした。それで、もう芸人を辞めようと思って……、M-1の1回戦の後、都留くんに「解散しよう」って言ったんです。

ラパルフェ都留さんのインタビューカット
都留

そうそう。なのに準々決勝でネタがウケたら、今度は「解散しない!」って(笑)。それで僕がめっちゃ怒ったと。渋谷駅の井の頭線の改札で。

ラパルフェ尾身さんのインタビューカット
尾身

いやぁ、あのとき解散しなくてよかったな。今は子育ても楽になってきたし(笑)。

そうした危機を乗り越えて今があるわけですね。今後の目標を教えてください。

ラパルフェ都留さんのインタビューカット
都留

2023年はキングオブコントで準々決勝以上、M-1で準決勝までは行きたいです。長期的には、僕はアイドル好きなので、いつか「バナナマン」の日村さんみたいに「アイドル公式お兄ちゃん」芸人になりたいです!

ラパルフェ尾身さんのインタビューカット
尾身

僕は、ラパルフェのコンビネタが都留くんのピンネタ以上におもしろいって言われるように、賞レースも含めて挑戦していきます。それと、ピンでもテレビに出られるようになりたい(笑)。ネタを書かない側なので、運動神経がすごく悪いとかの特徴を生かして仕事ができるようになって、しっかり稼いで後輩におごりたいです(笑)。

お二人のように、夢を追いかけながら働いている人にエールをお願いします。

ラパルフェ尾身さんのインタビューカット
尾身

僕は今も働いているので、「まだまだ尾身も同志だぞ」と(笑)。何かでプロを目指している人には、いろんな働き方を応援してくれる職場を選んでほしいですね。僕の今の職場もそうですが、そういうところって夢を持った人たちが集まりやすい。今の職場では、よく皆で成果を報告し合っているのですが、僕にとっては、それが刺激やモチベーションになっています。

あとはひとつだけ注意を。給料をもらったらすぐ飲みに行っちゃう人、せっかくプロを目指す時間を削って得た稼ぎなのにもったいないぞ!と。

ラパルフェ都留さんのインタビューカット
都留

少し厳しい言葉になっちゃうんですけど、目指す世界で成果が出ていないのに「仕事がんばっているから」で納得しないでほしいです。自分が目指しているのはそこじゃないってことを忘れないでほしい。

確かに忙しいし疲れるけど、仕事を2つやっていたら人の2倍大変なのは当たり前で、そこをがんばり抜かないと成功はないと思うんです。あと、両立で困ったときは職場のお母さんたちに相談して(笑)。僕はそういう人たちのおかげで、凄く助かりました。皆さんにも、目標を見失わずに進んでもらえたらと思います。